INTEGRAL INFINITY : jade pebble

【ウォームビズィズダンユアバディ】

「お前んちって贅沢なんだかけちくさいんだかわかんねーな」
 俺は今、こたつの中に首まで埋まっている。端から見れば物凄くみっともない格好なんだろうけど、セイの部屋にはエアコンが無いから、寒い。
 セイはこの部屋の気温には慣れた、とか言って(家主だから当たり前なんだろうけど)腰までしか入ってない。ちゃんと座ってもいる。
 それでも長い脚はこたつの中なんだから、俺の身体とどうぶつかってもおかしくないんだけど、このこたつは相当デカいから、お互いちょっと曲げたりするだけでスペースの共有が出来ている。
「これ、絶ってー一人暮らしの持ちもんじゃねーだろ。どう見てもファミリー用だよ」
「メシも勉強も全部一つの机で済ますんだから、大きい方がいいだろ」
 つまりセイが言うには、部屋にいる間は殆ど机の側で過ごすんだから、こたつがあれば他の机も暖房器具も要らないということらしい。
「夏はどうしてんだよ、エアコン無いと暑いじゃん」
「扇風機があれば十分。そもそも夏休みは家にいる時間少ないし」
 そう言えばセイは旅好きだったっけ。夏休みに俺は黙って置いて行かれて、セイがいない毎日って随分退屈なんだということを痛いほど思い知ったんだよな。
「今度は俺も連れてけ…よ……」
 やばい、ちょっと眠くなってきた、かも……。

「ふー、あちぃー……俺、結構長い間寝てた?」
「一時間ぐらい。ミズ、顔真っ赤になってるぞ」
 流石にこれは温まりすぎか。服の内側がべたべたする。
「セイ、こたつの電源オフしてくれよ」
「了解」
 直射熱の暑さは無くなっても、こたつ布団の中はまだ暖かい。俺は身体の向きを変えてもう一度こたつに潜った。
「ミズ」
 いきなり後ろで物音がしたかと思うと、俺のすぐ横にセイが身体を入れてきた。
「おい何すんだよ、狭いよ」
 セイの奴、問答無用で俺の事抱きしめてきやがった。しかも妙に力入ってるんですけど。
「あったかい」
「ずっとこたつに入ってたんだから当たり前だろ」
 ってか、こいつひょっとしてソノ気なんだろうか。幾らファミリー用でも高さ足りないから狭い――じゃあ、なくて。こっちは汗だくなんだよ、生理的に嫌なんだ。
「心配しなくても、未だ始める気じゃない。本当、ミズって表情読みやすいな」
 うわ、また全部顔に出てたのかよ。いつもの事ながらショックだ。
「ちょっとミズの体温分けて欲しかっただけ」
 セイは一旦腕をほどいて、今度は優しく抱き直してくれた。悔しいけど身長差があるから、俺の頬のあたりにセイのタートルネックが来ていて、ちょいチクチクするのが玉に瑕だけどな。(化繊だな、絶対。着てる本人は平気なのか?)
「こういうのって、うん、悪くないね」
「悪く無いどころか、俺、ミズとこうしてればこたつも要らない」
「ばかやろ、そのこたつあってこその今の体温だろ。そのうち平熱に戻るぞ」
 正論のつもりだったけど、セイは「俺の体温でミズを暖め直すから」と訳のわからない事を言う。
 暫くして、今度は本気で侵入してきた掌は、確かにひどく熱かった。

 

(2006/02/15)

jade pebble/目次

 こたつネタ。我が家では三方を囲まれた場所に設置されているうえ、主に父親が占拠しているのでここ最近はまともに入ってません。