INTEGRAL INFINITY : extrastars

【Pola Stars(恐らく1996年執筆。綴り間違ってるよママン)】

※十六歳の自分を尊重して、改行や誤字脱字は無修正です。

 小さい頃、オレ、北斗と双子の兄弟の南斗はよくケンカした。原因は、よくありがちな、『どっちが兄か』ってやつ。オレが最後に「北斗七星ってあるけど、南斗にはないだろ? だからオレのが兄ちゃんだ」って言うと、南斗の奴きまってこう言った。「ボク、ぜったい見つけてやるから」 これ聞いた時、心底驚いたね。いつもおとなしい南斗がこんな事言うなんてさ。ビビッたよ。
 今、オレ達は同じ高校の一年生だ。小さい頃と変わらず、二人並んで。
 部活選ぶ時、オレはケンカの時と同じぐらい驚いた。
 中学の時、オレ達二人はバスケ部に入っていた。けっこー上達したし、オレは迷わずまたバスケをやることにした。
 当然南斗もそうだと思ってたけど、アイツの口から出た言葉は、
「ボクは天文部に入るよ」
 同時にオレの目は点になった。理由を聞くと、
「小さい時の契いを守るためだよ。中学にはなかったからバスケ部にしたけど」
 まさか本気で捜すなんて思ってもみなかった。信じらんないと思った。だけどアイツは天文部に入部とどけを出した。
 それから、二人の歯車が狂ったような気がした。活動日もちがうし、たまに南斗は星の観測で遅く帰ってくる。
 オレとしては少し寂しい気がした。一卵性双生児でいつもひっついてたからな。
 ある日、オレが部屋に戻ると、南斗がベッドの上で『星の伝説』を読んでいた。アイツは、オレに気付いたみたいで、笑顔で声をかけた。
「北斗。コレに載ってたんだけど、『南斗六星』があるんだよ。
 ボク、見つけたよ。ちゃあんと、ね。」
 南斗の無邪気な笑みに、オレは思わず
「オレには北極星があるぜ」
なんて言っちまった。
「ボクは南極星を捜すよ」
 アイツも負けずに言い返した。
「なら、今度はオレも手伝うぜ」
 それから、二人で思い切り笑った。
 南の空に南極星が輝く日、オレ達は前に戻れるのかも知れない。

 

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「これはおよそ十年前、創作サークルに投稿した同名の小説が原型です。」…polestars0話コメントから抜粋

――と自分自身も思っていたのですが、なんとそれの更に原型が存在していました。
 06/04/09にひょんな事から未完連載版が載っているはずの会誌を捜そうと思い立って家捜ししたのですが、肝心の冊子はさっぱり出てこず、偶然開いた昔のノートにその文章を発見したのです。ノートの後半に書いてあった自分語り随筆もどき(アイタタタタタ)の内容から推測すると、創作サークルで未完連載版を書く以前のもの。内容は僅か1ページで完結していました。他の小説もあらかた1ページで終わっているのを見ると、このノートは最初は短編を書き付けるために使われていたようです。それが後半は自(ry になってましたが。

 恐らくはこの短編が連載版の基盤となっていたのでしょう。書き出しが、北斗による南斗との兄争い語りなのは昔も今も変わっていません。
 ですが、人物設定が全然違います。今のやつには当時の設定の面影が全然無い――! 未完連載版はちゃんと短編版の設定を引き継いでいた記憶はあるのですが。多分、名字の有無ぐらいしか違いはないはず。

 と、言うか、読み返して私の目の方が点になりました。

 北斗はやんちゃ坊で、これはまだいいのですが、無邪気な南斗というのは正直信じられません。口調とかからして、昔はどう見ても南斗の方を受と仮定して書いてたっぽいという衝撃の事実。流石に十年間で私の萌え傾向が変わったんだな、とトシを感じさせずには居られません。

 内容の方は、現在の冒頭とクライマックスをくっつけて極限まで圧縮した、という感じです。受くさいとはいえ南斗は南斗、その思想の根幹は全く変わっていません。北斗も、今の腸捻転思考からは考えられないぐらい素直です。