INTEGRAL INFINITY : extrastars

【秘密のデートスポットで10のお題:10.非常階段】

 二限の授業中、ポケットに突っ込んでた携帯が震えたからこっそり確認してみると、南斗からメールが入っていた。

『非常階段』

 って単語だけ書かれた、一見意味不明な文面。要するに次の時限休みにそこに来い、って事だろうな。めんどくせぇけど、やだって返事送っても食い下がってくるだろうな。それ繰り返して先公に気付かれたら厄介だし――仕方ねぇ、メールは放置して、行くか。

 八組のが場所近いせいか、非常階段には南斗のほうが先に来ていた。
「南斗。あのメール、何か用あんの?」
「……北斗分が不足してきた」
「は?」
 何だそりゃ。一言メールよりわけわかんねぇぞ。
「北斗分が足りなくなるとね、疲労が溜まったり集中力が低下したりするんだよ」
 待てよ、どっかで聞いたことあるような設定だな。ひょっとして――。
「お前、俺が下田から借りた漫画勝手に読んだだろ」
 南斗はいつものようにニッコリ笑って誤魔化した。
「とにかく補給させてよ」
「俺はシュークリームと違って食えねぇぞ?」
「こうするんだよ――」

 高い位置からキスされた。南斗のほうが上の段に立ってるからだ。

「ごちそうさま」
 薄々予感はしてたけど、またえらくベタな方法だったな。
「これで、五限終了まで保ちそうだよ」
「おい。今日の授業って六限までだろ」
「うん、だから五限終わったらもう一回補給――痛っ!」
「燃費悪すぎ」
 また呼び出されんのも面倒だから、俺は背伸びしてキスを先払いしてやった。

 

(2006/08/19)

番外編/polestarsシリーズ/目次

 屋上で反省したので、今度はほのぼので。シュークリーム分はあの有名な四コマからです。