カメラの焦点距離と絞りを正しく設定し、レンズを北天に向けてシャッターを開けたままにする。頃合いを見計らってシャッターを閉じれば、望む星の写真が撮れているはずだ。 瞬間、心臓が凍り付くかと思った。 「君が撮影する時、カメラはいつも北ばかり向いている。昼間現像した写真も天の北極やおおぐま座が多いね。天宮君の名前は『南斗』で、北斗七星にちなんで名付けられたのは、君の双子のお兄さんの方じゃなかったかい?」 「良いんです、本当の理由は北斗の方にありますから。あいつは俺にとっての北極星なんです」 ――それは隣り合っているように見えて互いの距離は遙かに遠い、二重星のような俺達の物語。
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「polestars」連載中に読者様方からもご希望のあった、南斗視点の物語です。今度こそ慌てず騒がずマイペースに書いていければ、と思うのですが。 |