【ダブルデート編 その1】
2006.08.02 07:32
「最近新しいジェットコースターできたじゃん。アレ乗りたくね?」
「いいねーでもメチャクチャ混まねー? 今夏休みだぞ」
「朝イチで並べば何とかなるんじゃね?」
「じゃ、いつにする?」
「――よし、っと」
早朝一人で起きた俺は、家族を起こさないよう支度を整えた。
南斗も自分の部屋で寝ている。俺のベッドに潜り込んでこようとすんのを追い出したからな。
菱井にメールを送ってから、俺は家を出た。
菱井とは駅で落ち合い、そこから目的の遊園地に向かった。
「目的のを制覇したら次どうする?」
「せっかく行くんだし、乗れそうなの片っ端から制覇でいいんじゃねー?」
「だからってカルーセルは勘弁な」
2006.08.02 22:23
俺達は目的の駅で電車から降りるとダッシュで遊園地に向かった。
「急げ北斗、一分一秒の差が列待ち時間に響くぞ!」
「わかってるって!」
凄ぇはしゃいで走ってた俺達だけど、遊園地の入場ゲート前広場に立ってる二人組の影を見て慌てて急ブレーキかけた。
「ひ、菱井……退却するぞ」
「――もう遅いよ?」
南斗は俺達に向けてお得意の極上笑顔を作った。けど、こ、声がちっとも笑ってねえ!
「す、優、何でここに」
「良介。計画を立てるとき、お前の部屋で話をしただろう」
「まさか、可奈! ――北斗ごめん、俺のせいだ!!」
諦めて俺達と同行するんだな、と小野寺先輩は菱井の首根っ子をひっ掴んだ。
俺はびくびくしながら、南斗と並んで先輩達の後をついていった。
2006.08.03 07:34
南斗達は俺らより用意周到で、四人ぶんの入場券を既に確保済みだった。
おかげで俺達は予定より早く入場することが出来て、お目当てのジェットコースターんとこの列の結構前の方につけた。
「やりぃ、三十分待たねぇぞこれ」
「小野寺先輩のおかげだからね?」
「ありがとうございますっ!」
北斗は現金だ、と未だに捕まったままの菱井がぼやいた。
話題のコースターは評判どおり、スリルあってメチャ楽しかった。
ほんとはもう一回乗りてぇけど、既に行列は二時間待ちの規模に膨れ上がっていた。
「菱井、次どこ行く?」
「他のコースター行こうぜ」
「……ほんっとに二人って仲がいいよね」
南斗が明らかに不機嫌そうな声で言った。
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