【単発 その1】
2006.05.01 15:22
『うぇー、苺? 母さん、練乳ねぇの?』
『高学年にもなってまだ苺をそのまま食べれないの?』
「――ってことをスーパーで思い出して」
俺より学校出るのが遅くて、帰りに母さんに買い物頼まれてた南斗は、何故か練乳のチューブを持っていた。こいつわざわざ自腹を切ったらしい。
「俺、苺に練乳、は中学で卒業したんだけど」
「でも好きだろ。かき氷は今でも練乳掛けしか食べない癖に」
「うっ……」
図星なので言い返せない。
南斗は左手でチューブを弄びながらにこにこと俺の顔を見ている。
――こんな表情の時の南斗は、ぜっっってぇ何か企んでやがる。
ひょっとしてまさか、アレか!?
「それは寧ろ俺の方がやりたいなぁ」
「はぁ!?」
俺さっき声に出したか? 出してないよな?
南斗は俺を無視してチューブを開封した。
「とにかく、食べる?」
何も無しの練乳まんまか……それこそ小学生の時はこっそりやったんだよな、指につけて舐めんの。
「くれるんならいる」
俺は指を指しだしたけど即座に駄目出しされた。
「ちがう。舐めるのはこっち」
南斗は自分の右の人差し指に大量の練乳を絞り出すと、その指を俺の鼻先に差し出してくる。
今にも床に垂れそうだったから俺は思わず一気にそれを口に含んでしまった。歯を立てちまって、南斗の顔が少し歪む。
「上手に舐めてよ、ね」
……ひょっとして俺が今してるのって、アレと大差無いのか?
喉を詰めたわけでもないのに気が遠くなってきた。
2006.05.23 07:58
「おい北斗ーひさしぶりー」
「はよ、菱井。クラス分けのプリント貰った?」
「まだ」
「ほらよ。俺ら二組。また同じクラスだぜ」
「やりぃ! また一年よろしくな――で、あっちで盛大に肩落としてんのは?」
「あー、南斗、物理地学取った奴んなかでただ一人四組に飛ばされたからな」
「双子は普通クラス離されるからな……」
「おい南斗。こんなん毎年のことだろ。今更落ち込んでんじゃねーよ。理科の授業時間は一緒だろ」
「そうそう、同じ大学めざすなら来年は同じクラスになるかもしんねーじゃん」
「だって! 二組と四組じゃ体育の時間違うじゃないか!」
「……ちょっと待て。問題はそこなのか?」
「今年こそはと思ったのに……」
「菱井。こいつ殴っていい?」
2006.05.28 19:34
「うわー、凄ぇなっつかしー……あ?」
「どうしたの? 北斗」
「昔のアルバム出てきたんだけどさぁ、中学の時の臨海学校の写真、ところどころ抜けてるんだよなぁ」
「……」
「何故視線を逸らす」
2006.06.06 12:55
Q.今までで一番後悔していることは?
「あのとき『いいよ』って言っちまったこと」
「え゛!?」
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