【単発 その6】
2007.02.25〜2007.03.14 Web拍手お礼SS
「わっちゃーん!」
廊下で和地の姿を発見するなり、北斗は彼に駆け寄った。
「四限って五、六組は体育だったん?」
「今バスケの時期じゃん? オレの活躍を北斗にも見せてやりたかったよ」
「わっちゃんバスケ部入ったもんな。レギュラー取れそう?」
「近々実力で奪取予定。そん時は北斗も試合見に来いよ」
「行く、絶対行くって」
そんな会話を交わす二人の姿は、とても楽しそうで。
和地との再会は、北斗にとってはよほど嬉しかったのだろう。菱井は自嘲混じりに笑った。
「まさかあんたの気持ちが解る日が来るなんてなー」
菱井に声を掛けられ、南斗は渋面を作った。
「あんな無邪気に好き好きオーラ出してんだもん、北斗」
懐いた相手にはどこまでも無防備で、それだけに独占欲をかき立てられるのだろう――天宮北斗と言う人間は。
「……解ったような口をきかないでくれないか?」
ましてや双子という最も近い位置にいる南斗には、心中相当なものがあるに違いない。
(俺ですら、和地に横から掻っ攫われた気分なんだもんな)
南斗で遊ぶのは暫く中断しよう、と菱井は密かに思った。
2007.02.27 22:16
「天宮さぁー、お前会長とおんなじ笑い方できんじゃないの?」
「えぇ!? 俺生まれてこのかた、あんな笑顔したことねぇよ」
パーツは一緒なんだからさ、と橘が言った。面白そーじゃん、とかやってみろよ、なんて声が周りからかかる。
「仕方ねぇな……」
あいつの笑顔は「作り物」だから、演技みてぇに笑えばいいんかな。
そう思って、試しにやってみた。
「うぉ、似てる似てる」
「でも若干わざとらしいな」
そりゃ南斗とは年季が違ぇんだから、俺が完璧に笑えるわけがない。けど今がどんな顔なんか、自分じゃわかんねぇな。
そんな俺の気持が伝わったのか、緑川がポラロイド出して写真を撮った――なんで写メとかじゃねぇんだ? そもそもそんなカメラどこに隠し持ってんだ?
「ほぅら天宮君、像がはっきりしてきたよ」
俺は緑川から写真を受け取った。
「――キモっ!!」
「北斗……天宮南斗が聞いたら泣くぞ?」
2007.03.11 10:48
「ねぇ酒谷」
生徒会室で仕事中、ミナミヤが突然話しかけてきた。どうせろくな事じゃないだろう。
「北斗って何であんなに可愛いいんだろう、俺と同じ顔なのに」
――ああ、やっぱり。
こいつと生徒会関連のマトモな会話をするためには、湯島か根岸のどちらかがいなきゃ駄目なんだ。幸崎先生だと構わずのろけ倒すからな……先生の気も知らないで。
「ミナミヤと違って汚れきってないからじゃない? キタミヤは」
「ほんと、何をやってもどんな顔しても可愛い」
こいつ僕の言った事聞いてないな……。こんな馬鹿を相手にしてやってるキタミヤには頭が下がる。
「突然キスしてみた時の怒った顔とか、むりやり腕の中に囲いこんだ時のすねた顔とか、強引にエ」
「そこは許可を取れ!!」
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