【単発 その8】
2007.06.13 23:30
その日の昼休み、天宮兄弟が向かい合って昼食を摂ろうとしているのを見て、三年一組の生徒達は一様に目を丸くした。
「……お前ら珍しいな」
「あぁ、今日は休戦。誕生日ぐらいはお互いヤな思いしたくねぇしな」
「そう言うこと」
北斗が適当に説明し、南斗がいつもの笑顔で肯定すると、それ以上訊こうとする者はいなくなった。
「放課後どうすんの?」
「一度家に帰ろうかな、と」
だが、やはり興味だけは無くならないらしい。
「なー、会長それって例の彼女とデート?」
「やっぱ特別な日だから、そうなんだよな?」
南斗は五割増しの笑顔で「ノーコメント」と言っているが、その裏に隠された不機嫌を感じ取った北斗は肩を竦めた。
2008.01.01 18:57
「あけましておめでとう」
南斗が嫌になるぐらいさわやかな笑顔で言った。
「こ、んな状きょ、で言うことじゃねぇ、だろ」
俺は精一杯、あいつを睨んだが、あいつはいけしゃあしゃあと「静かにした方が良いよ」だなんて言って指で俺の口をふさいだ。誰のせいだ、誰の。俺は「ゆく年くる年」が見たかったのに。
prev/next/小ネタまとめへ/番外編/polestarsシリーズ/目次