【大学生編(またの名を同棲編) その1】
2006.06.23 00:33
「今日の昼当番俺で良かったっけ?」
「先週一回飛ばしてるから、お前で合ってる」
「何か食べたいのある?」
「明太マヨパスタ」
「……あのね。今後も自炊続けること考えると、俺としてはレパートリー増やしたいんだけど」
「やだ。食いてぇの」
「まったく、俺パスタの茹で方とおにぎりの握り方ばかり上達してる気がするよ――」
それでも、幸せそうにパスタを食べる北斗の顔を見ると、別に良いか、って思う俺がいる。
2006.08.17 12:00
「あっちぃぃぃ……」
「だからって俺の目の前でストリップしないでよ」
「この暑さでシャツなんて着てられるか」
ハーフパンツ一丁になった俺は、床に転がってたうちわをひっつかんで扇いだ。
「でも、いきなり暑くなったよね……確かに死にそう」
「お前も脱げば?」
「何それ誘ってるの?」
「アホか。これ以上汗かいてどうすんだよ」
んなことしたら脱水症状起こして死ぬ気がする。そんな死因他人に晒したくねぇ。
「ほんとだ、肌しっとりしてるし」
「って何触ってんだよ暑苦しい」
「――夕方になったら電器屋行こう。扇風機無いと限界だ」
2008.11.03 08:27
「見て、北斗。こんなの買った」
南斗が見せたのは、なんか小さくて白い、箱状の物体だった。
「何、これ」
「プラネタリウム」
「何でだよ、もうあるじゃねぇか」
実家出るとき、南斗と酒谷が作ったプラネタリウムも持ってきた。今でもたまーに見る事がある。
「これね、防水なんだ。お風呂でも見れるよ」
「へぇ、変わったもんがあるんだな……って」
――南斗のワンパターンな思考は簡単に読めるぞ。
「こいつを風呂んなかで一緒に見ようとか言い出すんじゃねぇだろな。うちのユニットバスに男二人は入んねぇぞ」
「うん、だから密ちゃ」
俺は遠慮なくあいつの股に蹴りを入れてやった。
2008.12.25 23:27
「うぉ、凄ぇなぁ」
「綺麗だよね」
「何つぅか都会って感じするよな」
こういうイルミネーション、と言って北斗は両腕を広げて立った。
「やっぱセンスってやつが違うんかな」
「――来年はどこの見ようか?」
「何か言った? 南斗」
「来年はどこでデートしようか、って話」
すると北斗ははぁ? と呆れた顔になった。訊かなくても解る。何でもう来年かよ、と言いたいのだろう。
「なぁ、帰りケーキ買って行こうぜ。うちで食べてるようなんじゃないやつ」
「それも都会ならではだよね。地元じゃイチゴショートばかりだし。俺はツリーも欲しいかな。卓上のやつ」
気がつけば周囲の人混みは密度を増して、抜け出すために俺は北斗の手を引いた。
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