INTEGRAL INFINITY : extrastars

【大学生編(またの名を同棲編) その4】

2010.12.29〜2011.02.14 web拍手お礼SS

「あー、結構疲れてんなぁ」
 メシ屋で席に着くなり俺は両腕伸ばしてテーブルの上に突っ伏した。
「北斗。それ店員さんに迷惑」
 水来るよ、と言って南斗が俺の肩を突く。まぁ当たり前の事だから、俺は身体起こしてちゃんと座り直した。
 運ばれてきた水を飲むとこう、きゅうって感じで胃に染みた。
「――腹減りすぎて、酒飲んだときみてぇ」
「博物館のレストラン、高かったしね」
 南斗の仕草に釣られて俺も携帯を見る。ランチタイムのラストオーダーぎりぎりの時間だ。
「結局、朝イチから半日ぐらい居たのか」
「だな。でも凄ぇ楽しかったじゃん。前来たときははやぶさカプセル見るだけで疲れちまったし」
 展覧会見に上野に来るのはこれで二度目だ。どっちかってぇと飛行機メインで宇宙関係の展示の割合はちょっと低いし、それもはやぶさとイカロスのインパクトが大半を占める感じだ。あれは俺達の専攻とはちょっと分野違うけど、最近の天文ブームにはやっぱウキウキするもんがある。
「けど地球館マジ面白かったな。前行かなくて損したぜ」
「うん」
 特別展見終わった後、俺達は常設展の宇宙関係のとこだけ見に地球館の地下に降りた。凹面の大スクリーンや、壁をスコープで探査して探した星団を色んな写真で見せてくれる展示とか面白ぇもんがいっぱいあった。
「あれは一フロアをちゃんと見るのに一日必要だよね」
「同感。俺、今度別の階見てみてぇな」
「――北斗ああいう触れる系の展示好きだったもんね、昔から」
「南斗だってそうだろうが」
「俺は、お前が楽しそうだったら何でも良いの」
 南斗はそう言って、昔から変わんねぇ笑顔を造った。高校卒業して随分経つし、もういいだろって俺は思うが、南斗曰くもう身体に染み着いたようなもんらしい。
「でさ、あれも良かったよな。スーパーコンピューターの演算結果」

「ああ……材料は一緒なのに回転の遠心力で一つになれないって考えさせられるよね」

 俺は宇宙全体のモデルについて言ったつもりだったが、南斗はどうやら連星の形成の事を言っているらしい。確かに、見たときは南斗が反応しそうなネタだと思ったけど。
「お前って相変わらず変な事に引っかかってるよな」
「俺の性分だからね」
 そこでメシが運ばれてきて、俺らの会話は一時中断になった。
 この後は、南斗が見てみたいって言ってたマルシェとやらに行って、また適当にメシ食ってケーキ買って帰る予定だ。

 

prev/next/小ネタまとめへ/番外編/polestarsシリーズ/目次