【単発 その3】
2007.07.07 13:13
「この歳になってもまだ七夕飾りつくってるなんてなー……」
「いいじゃない、幾つになっても夢は必要だよ? って言うかお兄ちゃんその提灯下手すぎ」
「うるせー!」
「ねぇ、短冊にはやっぱ優兄と早く逢えますように、って書く?」
「んな事書かねーよ! 第一こないだゴールデンウィークに逢ったばっかだし、夏に優がこっち来る日程だって判ってんだからな」
「じゃあ何て書くの?」
「……ぜってー言わねーよ」
2007.11.16 22:02
「次のメガマック、メガトマトとメガたまごだってよ」
「マジ? おれはメガフィレオとか出てほしいんだけどなぁ」
「それは厳しくね?」
弁当を食べたばかりだと言うのにそんな話題に興じる友人たちを、菱井は何処かぼんやりした目で見ていた。
そんな彼の肩を北斗が軽く突く。
「菱井」
「ん?」
「お前、先輩の事考えてただろ」
珍しく冴えてんなー、と菱井は苦笑いを浮かべた。
「あと少しの辛抱じゃねえか」
実際はあとひと季節ぶんの月日があるのだが、受験さえ終えてしまえばどうとでもなるだろう。
「お前、第一志望受かったら一緒に住むん?」
「そりゃー無理だろなー……」
お前らなに辛気くさい事話してんの、と久保田に言われ、二人は適当に誤魔化しながら話を打ち切った。
2008.01.19 13:59
「おい菱井、お前顔色凄いぇ悪ぃぞ?」
「……うー、何かやべーぐらい緊張してんだけど……」
菱井は、昨日の夜もろくに眠れなかったらしい。今日がいよいよ本番だってのにこいつ、大丈夫だろうか。
「ちょっと。今日失敗して酷い点を取るのだけはやめてほしいな」
珍しいな、南斗が菱井を応援するなんて。普段のこいつの態度からして、逆の考えててもおかしくねぇのに。
「君が浪人してこっちに残る羽目にでもなったら、北斗が悲しむし」
「「――そっちかよ!!」」
俺と菱井の声が見事にハモった。
「俺としては非常に不本意だけど、事実として認めざるを経ないからね」
はぁ、と菱井が気の抜けた声をあげた。
「何か……緊張とかどーでもよくなってきたぜ」
南斗の自己中理論は、結果的に菱井を救ったようだ。
2009.02.14 23:30
「あのー……優、これ」
「今年の分のチョコだが」
「そりゃー解るんだけど、何でまたやたら高そーなの買ってくるんだよ。また郁姉に付き合って貰ったのか?」
「いや、今年は一人で行ったが。俺の方があいつに付き合いきれん」
「……そーですか」
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