天宮北斗様 突然の手紙ごめんなさい。直接お話ししたいことがあるので、放課後第二校舎の裏で待っています。 時間にはまだ余裕があったから、俺らは生徒があまり使わねぇ一階のトイレに隠れて、例のラブレターを開封した。南斗と間違えられて、っつぅケースは何度も経験済みだし気楽だけど、俺自身を名指し、っつぅのは初めてだからどう対処すりゃ良いのか全然考えつかねぇ。成り行きとはいえ菱井がこの場に立ち会ってくれて、俺はちょっと安心していた。 便せんに書かれた名前も、間違いなく俺のものだった。けど、俺らが一番驚いたのは、手紙の差出人だ。 今度は下駄箱の場所を間違えてはいません。 「どーすんの? 北斗」 通知票の結果は、やっぱ中間が足を引っ張ったせいで伸び率低かったけど、二学期総合じゃどの教科も一学期より評価が上がっていた。期末の成績も書かれてっけど、こいつを両親に見せるのは何か嫌だった。成績が上がったから、っつぅ理由で向こうに態度変えられても困る。三学期始まるまで俺の机ん中に隠しとこう。 クラスの連中があらかた帰った後、俺は第二校舎裏に向かった。 「あ、あのっ……! あ、天宮君!」 俺を発見した奈良さんは顔を真っ赤にして、それでもちゃんと俺の顔を見て話しかけてきた。
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まだ携帯メールどころかポケベル全盛期だった時代、文通が大好きでした。相手は主にいとことか創作サークルの仲間とか。よく文房具屋で可愛いレターセットを探したものです。 |