『南斗。俺らっていつまで一緒にいられると思う?』
『わかんない。でも俺達ほとんど同じだし、あとは中学も高校も大学も会社も同じにしたら、ずっと一緒じゃないかなぁ』
『あー! 同じで思い出した。お前らどっちが兄貴か、ってクラスの奴にきかれた』
『そんなのあるの? だって双子じゃないか、一緒に産まれたんだから』
『こういう時は多分、他のことでどっちが上か決めるんじゃねぇの? ――とりあえず、俺は星が七個でお前は六個だから、俺のほうが勝ちだろ』
「天宮、何一人でトリップしてんだよ」
「え? あ、あぁ。ちょっと考え事……」
「何、ひょっとして今更フッたのが惜しくなったとか?」
「ばぁか、そんなんじゃねぇっつぅの」
そりゃ、多少ぐらいはもったいなかったかも、って思うけど、でも本気で後悔してるわけじゃねぇ。
ただ、あの時、ガキの頃の事をちょっとでも思い出しちまったのを、俺は思ったより引きずってるらしい。
こういうのって何つったっけ……ノスタルジー、じゃねぇな。そうだ、感傷、っつぅやつか。卒業式の日学校を出てく時のような、あんな感じ。
「にしても、成績の追い上げだけならまだしも、女子人気まで書記と張り合うつもりか天宮」
「んなわけねぇだろ。今はカノジョ作ろうって気、全然ねぇし」
「そこがもう一人の天宮とそっくりだっつーの!」
「対抗する気なら、告白してきた子を振るのはおかしい。来る者拒まずでハーレム目指せ」
久保田達、ホント好き勝手なことばっか言ってんな。別に恋愛なんてそう急ぐ必要ねぇんじゃないのか? もしかして俺が男子高校生としておかしいのか?
俺、付き合ったりするなら本当に好きな子とがいい。ずっと一緒にいる事を、俺自身が選べるような。
「八組の天宮で思い出した。あいつこの前、好きな子がいるから、って告白断ったらしいぜ」
「下田、それマジ!? その話天宮は知ってるのか?」
「知らないって言ってたよな、北斗?」
俺が迷ったり下手を打つ前に、菱井がフォローしてくれたので、こいつに合わせて肯く。
そういや南斗の本命に関する話は最初から嫌な話題だったけど、一つだけ気になる事があった。
「菱井。お前が昔やろうって言ってたあの賭け、どうなったん?」
そんなのあったなぁ、と他の連中も笑う。
「あー、あれ。正解が判明するのに時間かかる賭けなんて成立しねーよ。クラスの連中で天宮南斗をダシにしてオッズ表を作ること自体が楽しかったんだから、それでいいんだよ」
何だ。今だったら俺も参加して、「禁断愛」に賭けてがっぽり儲けられたかもしんなかったのにな。
南斗は知られたら終わり、って言ってたけど、あの人はあいつの気持ち、知ってる――。
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